ボケの花が咲いた
ボケの花が咲き始めた。
特に待ち望んだわけでもなく、咲いたことを大騒ぎするわけでもないのだが、その存在は気になる。
ボケの花を観察すると、驚く程美しく光り輝いているのだ。
何だか我々の生き方に、何か示唆を与えているようにも思えるのだ。
ボケは咲くことを期待されていない。
大抵、この時期に待ち焦がれているのは、桜の花である。
桜の前に梅の花が咲いている。
いわば華やかな花の間に挟まれて、決してその存在を主張することはない。
しかし、桜や梅の陰で、いつの間にか咲いていて、それに気づいて焦点が移ると、誰もがその美しさに賞賛の声を上げる。
その美しさは、梅が散っても、桜が散って葉だけになっても、それを保ち続けるのだ。
我らも華やかに目を引くものはないが、一度焦点があたったら、にわかに輝きを増す。
そこには、自分にしか出せない美しさと輝きがある。
そのような存在を「ボケの花」に見た。