親友と「満腹デー」
人知れずこの世を去っていった小生の親友・H.T 享年60歳であった。
訳あって娘と二人で暮らしていたのだが、玄関先で倒れていて亡くなった。
あれからもう8年目の命日が近づいた。
自由奔放に生きた男であった。「まるで寅さん」と皆に言われたものだ。
若い頃はよく食い、よく飲み、よく遊んだものだ。
小生の独身時代は給料も安く、月末が近づく頃には腹ペコの日があったものだ。
そんな思いから、ある年の3月24日を「満腹デー」に決めて、この日は思いっきり腹いっぱい食べるぞと決めたものだ。
いつの間にかこの日のことすら忘れてしまうこともあったが、彼を亡くしてから命日には決まって思い出す。
大酒飲みの彼は、酒を飲むたびに言い訳を言っていた。
まるで「酒飲みは 何かにつけて わけをいい」を地で行っていた。
「今日はお祭りだから」「今日は創立記念日だから」「麻雀で役満を上がった」「・・・」
何でも理由をつけては酒に変えていたのを思い出す。
4月の終わりだというに、今日は寒い。
きっと彼なら、「寒いから一杯やろうぜ」と言ったことだろう。