電話に目あり
, 雑感新入社員研修の事を一昨日書いたが、電話のことで思い出す話があるので書いてみる。
かって、接遇指導センターの女性が語ったものである。
女学校を卒業して間もないハイティーンの頃、横浜の小さな会社に勤めていました。
ある日、社長に書類を届けるために、緊張しながら初めてノックした。
「偉い方、と評判でしたからやっぱり怖いような気持でした。」入ってみると、社長は立ったまま電話しているところでした。
終わるのを待つうち、信じられないような光景を目にしたのです。
「受話器を手にしながら、社長がお辞儀をなさいました。それも腰を折って、深々とお辞儀を。」
一瞬ポカーンとした後、可笑しくてたまらなくなってきました。
相手が見えない電話で、どうしてお辞儀するのだろう、この人変じゃないかしら……。
あの時笑ったのは間違いだった、と気付くまでにには長い歳月が必要でした。
別の場所でこの事に気付くきっかけがあったのです。
「礼儀正しい言葉遣いで、感じが良い。その上朗らかだし、マニュアル通りでない誠実さがある」電話を受けたのです。
「ありがとうございます」と言った時、本当にお辞儀をしたように聞こえたのです。
電話には目がある、相手がお辞儀するのがわかるものなのです。
お辞儀するほど礼儀正しく話すことが、話し方全体の感じの良さとして自ずと伝わってくるものなのです。