西郷どんと豆
小生に座右の銘は?と聞かれることがあれば、「敬天愛人」と答えるだろう。
鹿児島の城山でその生涯を終えたことから、城山の目立つところにこの文字が読める。
ところで、西郷さんの人物を判断する逸話に、次のようなものがあるので紹介したい。
西郷隆盛が江戸攻撃を行おうとした際、官軍には軍資金がない。
西郷は大阪の大商人を頼り、資金調達に出かけた。
そして、同行人一同と一室で待たされた。
お茶菓子に煎り豆が出される。
なかなか姿を見せない主人に業を煮やし、同行人たちは豆を手でつかんでは口に放り込む。
西郷さんは、手にした豆を一粒一粒口の運ぶ。
やがて主人が出てきて、すぐに「金は出しましょう」と言った。
「事情も説明せずに」と問うと、「今、豆を食べるのを実は他所から見ておりました。そのお姿を見て、こういうお方なら、金を任せられると思いまして」と主人は答えたそうだ。
人が人に接するときの思いやりや気配りに、その人なりの人格が出るのであろう。
人格や教養と言ったものは、ちょっとしたしぐさや応対に出てくるもの。
見る人が見れば、はっきりわかってしまうものだ。